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災害時の通信環境 [HAM]

大きな自然災害が発生した時、通信手段の確保が重要になる。
千葉県は5日経った今日現在でも20万軒が停電中で、被害の全容はまだ把握されておらず、これから新たな被災地が発見されるかもしれない。

私は、東日本震災を東京で経験したが、まず、携帯電話が不通になる。
限られた電波での回線を警察や消防などの緊急通信を優先させるため、一般の通信は制限されるのに加え、携帯電話の電波を中継する中継局の電源が途絶えると機能しなくなる。
停電して1時間くらいは各中継局は非常用バッテリーで機能するがバッテリーの電気が無くなると同時にその中継局の機能はシャットダウンする。

今回の台風15号の通過で千葉県内の多くが停電したため、早速、多くの中継局のシャットダウンで、携帯電話が次々と使えなくなった。
圏外状態になったまま、今度は携帯電話自体も充電ができないので次々機能喪失。
固定電話は、電柱が倒れたりで電話線が切断され不通のエリアが発生。
流行りの多機能電話は、停電のため不通。
さらにテレビやラジオが使えなくなったお宅や役場では内外から完全に情報遮断されてしまった。

今回の台風で千葉県内に実家を持つ東京在住の娘さんが実家への連絡が取れないので、見に行ったところ、その地域全体が屋根が吹き飛んだり家が壊れたりの激しい状態だったそうだ。
自治体も電話や電気がないため地元の被災状況をいまだに把握できておらず、結果、県や国、自衛隊等への連絡もできなかったそうだ。
当然マスコミなどの報道機関は知るすべもないのでこの状況は報道されない。

娘さんがSNSで発信したことにより、そのエリアの被災状況が初めて知らされたそうだ。
被災後3日4日経ってのことだ。
千葉県内にはまだこのようなエリアがあるかもしれないため被災の全容がわかるのはこれからになるだろう。
これらのネックになったのが通信手段だ。
多くの自治体は高価な防災無線を用意しているが、今回も全く機能しなかった。
一昨年の朝倉の水害の時も機能しなかった。
どうやら、使い方がわからなかったり、充電できなかったり、、で元の木阿弥。
情報が途絶えた時からそのエリアは死活問題に近づいてしまうことになる。

内閣府は、このような情報遮断が発生しないよう2年前からガイドラインを出している。

内閣府
防 災 基 本 計 画
平成29年4月
中 央 防 災 会 議

第2編 各災害に共通する対策編 第1章 災害予防

第6節 迅速かつ円滑な災害応急対策,災害復旧・復興への備え
2 情報の収集・連絡及び応急体制の整備関係
・携帯電話・衛星携帯電話等の電気通信事業用移動通信,業務用移動通信,アマチュア無線等による移動通信系の活用体制について整備しておくこと
なお,アマ チュア無線の活用は,ボランティアという性格に配慮すること。

・被災現場の状況をヘリコプターテレビシステム,ヘリコプター衛星通信システム(ヘリサット),固定カメラ等により収集し,迅速かつ的確に災害対策本部等に伝 送する画像伝送無線システムの構築に努めること。

というようにアマチュア無線活用等による体制を常日頃から整備しておくようにとのことなのだが、多くの自治体は高額な防災無線整備を優先させている。
アマチュア無線では常日頃から商用電気が利用できない環境下での通信確保に長けており、ソーラー、自家発電、ハイブリッドカーの電源利用、ポータブルバッテリー利用などで音声通信、文字通信、さらに、内閣府でも推奨している画像通信なども山間部からでも通信することができる。

人命救助や非常時の通信はアマチュア無線の得意とするところでもあり、電波法でも規定されている。
しかも全員地域のボランティアなので、自治体と平常時から連携体制を構築しておくと、不意の緊急時の連絡手段確保は比較的簡単に構築できるだろう。
東日本震災時、電話会社の中継局が次々シャットダウンしていく中、アマチュア無線の臨時レピータ(中継局)を山岳部に設置して自治体等の情報連絡に寄与したことは耳に新しい。

一昨年、この話を地元の自治体(防災課)に説明に伺ったのだが、やはり、防災無線を構築するから必要ない、とけんもほろろに断られた経緯があるが、さらに懲りずにアプローチを続けていきたい。

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