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Karte カルテ [日常]

カルテ 、ドイツ語で Karte 、医療に関してその診療経過等を記録したもの。

私が子供の頃、お腹を壊したり、風邪をひいたりして病院へ行くと、ほとんどの先生が万年筆あるいはインクの付けペンでカサカサと音を立てながらカルテに何かを書いていた。
日本語ではない。
親に聞くとドイツ語だということがわかった。
しかも筆記体で流れるように書かれていた。
自分の症状がドイツ語になって、カサカサと音を出して書かれ記録されていく様を見て、病院に来たのだと言う実感を得ていた。
横から盗むように見て、読んでもわからないので先生が言うことだけが全て。

いつの頃からか、その文字が読めるようになってきた。
英語か日本語で書かれるようになったからだ。
ついこのあいだのような気がするが、40〜50年くらい前?だろうか?
問診で聞かれて答えたことがそのまま書かれていくのでなんだか、神秘性も重みもありがたみもない。

さらに気がつくと、この数十年ほとんどの病院が電子カルテになり、紙の上から聞こえていたカサカサと言う音がしなくなり、代わりにカタカタとキーボードを叩く音に変わってしまった。
先生はモニターを見ながら、モニターに話しかけているようにも見え、かつてのドイツ語時代の隠微性が戻ってきたかのようにも感じられるが、盗み見すると現代日本語で打ち込まれている。
カルテは電子データとなりデータベースの中へ診察券番号と共に格納される。

ドイツ語とインクのカリカリ音が懐かしくなってきた。


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