- HAM
超短波(VHF)の電波は通常見通し距離程度しか届かないが、地球を幾重にもなって取り囲んでいる電離層が太陽活動の強弱によってその密度を変え電波の反射率をも変化させている。
ここ数年、150Km〜800Km上空のF層(電離層)の中を石投げ(水面に石を投げてピョンピョンピョンと跳ねながら遠くへ飛ばすこと)のようにVHF(50MHz)電波を飛ばして遠距離と交信する F層マルチホップ通信 が面白い。
逆に短波(HF)を使うと簡単に繋がる国々ではあるのだが、VHFでやるというのがこだわるミソ。
数多くの局とこのマルチホップで交信したが、通信方式は電信(Continuous Wave:モールス通信)だ。
たまに電話(音声)通信も行うが、電信(モールス)の方がはるかに伝達効率が良い。
このQSLカードは、エストニア(と言ってもその位置がピンとくる方は少ないのでは?)の局。
いわゆるロシアの西、フィンランドの南、バルト海沿岸のバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の一つ。
因みに、バルト三国のリトアニアは、ユダヤ人に日本のビザを発給し東洋のシンドラーと言われている 杉原 千畝氏が外交官として駐在していた国。
交信したこのエストニアの局は開局して55年やっているそうだ。(私は今年で50年)
VHFでのアナログ通信は、高出力(500W〜1,000W)や高いゲイン(6エレメント以上)のアンテナを利用することによってこのマルチホップが実現できることがわかりだした。
当初は日本海沿岸の極東エリアがいいとこだったが、次第に 〜スタン各国、中近東、そこからヨーロッパの奥の国々と段々とホップ数を増やして遠距離まで電波を飛ばすことができるようになった。
地球や宇宙を舞台に自然の中で自由に遊んでいる感覚だ。
このファジーな状況が興味をそそられる要因の一つなのかもしれない。
この電信だが、最近は世界文化遺産に申請しようという動きもあるようで、まさしく希少価値の通信方式となった。
喉頭癌で声帯を失っても世界中の仲間と交信できるし、室内でも、近くで家人がテレビを見ていても音がしないので不快感を与えることはない。
さらに、指先で電鍵を動かして通信するので高齢時のボケ防止にもなるという まさしくいいことづくし。
これからも引き続き、時々は 男は黙って CW !!