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国芳から芳年へ <面白いには裏がある> 展 [日常]

IMG_3495.jpgそのうち行こうと思っていたが、気がつくと今週末で終わることがわかり、慌てて福岡市博物館へ行ってみた。

浮世絵は江戸初期より発生し、浮き世を描いた風俗画として江戸時代の庶民に支持され発展していった。
多様な作家たちが存在していたが、かなりの作品や板木が海外へ流出しており、米国のボストン美術館や英国博物館などの所蔵は有名である。

10年ほど前だったか、ボストン美術館所蔵の浮世絵 里帰り展が 江戸東京博物館 で開催された時見に行ったが、それ以来の浮世絵展見学となる。

今回はそのほとんどが名古屋市博物館所蔵のもの。

歌川国芳の弟子は数多くいたが、その中でも月岡芳年は師匠のDNAを引継ぎ更なる成長を遂げたようだ。
時代的には江戸末期から明治初期。

芳年が制作活動していた頃は、私の祖母も同時期に生きていたので、そんな大昔でもない。








IMG_3496.jpg通常は一枚の紙で表現するものが一般的だが、歌川国芳の場合は、横3枚あるいは縦3枚と並べてのパノラマ表現が多い。
その分、ダイナミックな場面展開が伝わってきて、映画の一場面を見ているような感覚に陥る。
国芳さんも、現代であればかなりダイナミックな映画監督にでもなっていたかもしれない。


IMG_3498.jpgこれが国芳作品の落款。
作品の数カ所にある。
当時偽物も多く出ていたようで、トレードマークも一緒に押されている。


IMG_3499.jpgこれは、忠臣蔵 赤穂浪士の吉良邸討ち入りの様子。
現場にいたわけではないが、細かな部分を見ると面白い。
江戸で結構売れたそうだ。


IMG_3500.jpg縦位置の構図展開。
主人公が屋根の上から下を見下ろしている様子が臨場感を伴って伝わってくる。


IMG_3501.jpg横6枚のパノラマ。
シネマスコープの映画のようだ。


IMG_3502.jpg血飛沫が飛び散ったり、首が飛んだり、内臓が飛び出たりと、当時世の中から求められた生々しい描写があるため、嫌な方はここの分岐点からノーマルコースへショートパス。


IMG_3503.jpg秋色(しゅうしょく)というタイトル。
言ってみればアバンギャルドなポスターだな。
一昔前の資生堂やPARCOのポスターを想起させる。
発色や、構図、目の表現などは非常に秀逸。
シリーズ作品として作成されている。
このまま、使っても現代の作品として十分通用しそうだ。


IMG_3504.jpgこれはよく見る 嵌め絵(はめえ)。
よく見るとお相撲さんのパターンが嵌め込まれて構成されている。
実にユーモラスで面白い。


IMG_3505.jpg当時、江戸の街角でこのようにして売られていたようだ。


IMG_3506.jpg当時、実在の武士を題材にしたものを頒布してはいけないという法律があったので、よく似た顔と1文字違えた名前を使って表現し、当局からの検閲をすり抜けていた。甲羅に隠れた隠し文字やマークで、庶民はこれは誰それのことだ、、と察していたそうだ。


IMG_3507.jpg作品の真ん中に自分の名前。
この大胆な発想には参った。


IMG_3509.jpg遅めのランチを中のレストランでいただき、ちょうど雨上がりで日が射してきたばかりの館外へ出る。
気温は19度か20度くらいはあるだろうか、年末のこの時期にしては暖かすぎる。


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しん

どれをとっても素晴らしいですね。
見た事ないものもいっぱい有りそうです。

by しん (2020-01-01 14:19) 

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