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東京には空がないという [日常]

高村光太郎の「智恵子抄」の有名な一節である。
排気ガスや工場からの排煙、光化学スモッグ と かつての日本は現在の中国のようだった。

現在では、厳しい日本の環境基準を満たすために、車や工場からの排気は非常に綺麗になった。
しかし、それでも東京と地方都市を比較するとその大気汚染度合には差があるようだ。

ここ福岡の拙宅エリアは海や山も近く比較的空気も綺麗なのだが、東京生まれ東京育ちの家人は、なんだか落ち着かないと言う。
時々、東京の雑踏の排気ガスや地下鉄の出入り口から流れ出るボワ〜っとした生暖かい空気、地下鉄から出てきたとき、見えてくる灰色の空、ビル街に切り取られて見えるいびつな空、カフェの窓から見える雑居ビルの壁、、、  こんな景色が恋しくなるそうだ。
人間、生まれ育った環境が変わればそれなりに望郷のイメージが大きく異なるようだ。
まさしくインプリント効果
狼に育てられた狼少年と同じだな。

かように人間の価値観や生理的感覚は多様性に満ちていることをしっかり認識してコミュニケートしないと大きな齟齬が生まれることは確かなようだ。

人の世は難しい。
(異なる生き物間の関係もすべて同様、、)


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